陸上競技を見ると「長距離ランナーはスリムで細身」「短距離ランナーは筋肉質でがっしり」という印象を受けますよね。同じ“走る”競技なのに、どうしてここまで体型が違うのでしょうか?今回は、中高生にもわかるように、原因・結果・学びを整理して解説します。
なぜ体型に違いが出るのか?
一番の理由は「使う筋肉の種類」と「エネルギー供給の仕組み」の違いです。筋肉には大きく分けて「速筋(白筋)」と「遅筋(赤筋)」があります。
- 速筋(白筋):瞬発力・パワーを出す筋肉。短距離やジャンプ、ウエイトリフティングなどで活躍。
- 遅筋(赤筋):持久力・スタミナを出す筋肉。長距離やマラソン、トライアスロンなどで活躍。
短距離選手はスタートダッシュや爆発的な加速のために速筋を多く鍛えるので、筋肉の断面積が大きくなり、がっしりした体型になります。一方、長距離選手は長時間酸素を使って走るために遅筋が発達し、余計な筋肉や脂肪を削ぎ落とすような体になります。
どんな結果が生まれるのか?
この筋肉の使い方の違いが、見た目や体重にも直結します。
- 長距離選手:体重を軽くすることでエネルギー消費を抑え、効率よく酸素を取り込んで走れるようにする。余分な筋肉や脂肪がない“燃費のいい車”のような体。
- 短距離選手:一瞬の爆発力を最大化するために速筋を増やし、スタートや加速時に大きな力を出す。重量感のあるエンジンを積んだ“スーパーカー”のような体。
つまり、競技の特性に合わせて身体が“自然に最適化”されるのです。同じ走る競技でも、求められる能力が真逆なので、体の作り方も大きく変わります。
必要な体づくりとは
この違いから学べるのは「目的に合わせた体づくりが必要」ということです。
- 持久力を高めたいなら、心肺機能と遅筋を鍛えるような長時間運動が有効(ジョギング・バイク・水泳など)。
- 瞬発力や筋力を高めたいなら、短時間で強い負荷をかけるトレーニング(スプリント・ウエイトトレーニングなど)が有効。
- どちらのバランスも取りたい場合は、筋トレ+有酸素運動をミックスするのがポイント。
また、食事や休養の取り方も体型に影響します。長距離選手は糖質やエネルギー補給を重視し、短距離選手は筋肉の回復・成長に必要なタンパク質を多めに摂る傾向があります。
まとめ:なぜ体型が違うのかを一言で
長距離選手と短距離選手の体型の違いは「使う筋肉とエネルギーシステムの違い」が原因。だから、持久力を求める競技ではスリムに、瞬発力を求める競技ではマッシブに――身体は自然にその競技に合わせて変わっていきます。目的に合わせた鍛え方をすることで、あなたの体も理想の形に近づくでしょう。
「筋肉は“用途”によって育つ。長距離選手の体は軽量で持久力重視、短距離選手の体は重厚で瞬発力重視。同じランニングでも目指すゴールが違えば、鍛え方も食べ方も変わるんだ。君も自分の目的を決めてトレーニングしよう!」

