「胸トレをしているのにベンチプレスが伸びない」…これは多くのトレーニーが一度は経験する悩みです。フォームも意識しているし、回数もこなしているのに重量が伸びない。この問題を解決するには、感覚的ではなく理論的に原因を分解する必要があります。ここでは筋力学や神経適応の観点から、なぜ伸びないのかをステップごとに解説します。
①神経系の適応不足
筋力発揮は「筋肉の大きさ」だけでなく「神経の動員効率」に大きく左右されます。初心者のうちは短期間でベンチプレスが伸びやすいのは、筋肉そのものよりも神経系が発達し、より多くの筋繊維を動員できるようになるからです。逆に言えば、中級者以降は神経系の発達が頭打ちになり、同じトレーニングを続けても伸びにくくなるのです。
②筋肥大刺激の不足
筋肉を大きくしない限り、ベンチプレスの記録は頭打ちになります。胸筋そのものの断面積を広げるためには、重量×回数×セット数(トレーニングボリューム)を十分に確保する必要があります。重量が重すぎて回数がこなせない、あるいは軽すぎて筋繊維が十分に動員されない場合、筋肥大刺激は不足しがちです。
③拮抗筋・安定筋の弱さ
ベンチプレスは胸だけの運動ではありません。三角筋前部・上腕三頭筋・広背筋・前鋸筋など多くの筋群が安定性に関与します。特に肩甲骨を安定させる広背筋やローテーターカフが弱いと、押す力が胸まで伝わりません。つまり、胸を強くしたいなら胸以外の補助筋も鍛える必要があります。
④可動域と肩甲骨制御の問題
ベンチプレスは「肩甲骨を寄せて下げる」ことで胸の可動域が広がり、筋肉に最大限のストレッチ刺激を与えられます。肩甲骨がうまく固定できないと、胸ではなく肩に負荷が逃げてしまいます。結果として胸筋が発達せず、重量も停滞してしまいます。
⑤栄養と回復の欠如
筋力アップはトレーニングだけでなく、栄養と回復に大きく依存します。筋肉はトレーニング中ではなく、休養中に修復・成長します。タンパク質摂取量が不足していたり、睡眠が不十分だったりすると、いくら胸トレをしても伸び悩みます。特にベンチプレスのような高強度種目は中枢神経への疲労も大きいため、休養戦略が必要不可欠です。
理論まとめ
筋力発揮は以下の式で説明できます:
筋力=神経効率 × 筋断面積 × テクニック
つまり、「神経系の動員力」「筋肉の大きさ」「フォームや可動域制御」の3つが噛み合わなければ記録は伸びません。胸トレが結果につながらない場合、どこか1つ以上の要素が不足していると考えられます。
改善へのアプローチ
- 神経刺激:低回数・高重量(1〜5回)のセットを週に数本入れて神経系を鍛える。
- 筋肥大刺激:中重量×中回数(8〜12回)でボリュームを確保する。
- 補助種目:ディップス・ショルダープレス・懸垂で胸以外のサポート筋を強化。
- フォーム改善:ブリッジ・肩甲骨固定・足の踏ん張りを徹底。
- 回復戦略:体重1kgあたり1.6〜2.0gのタンパク質、7〜8時間の睡眠を意識。
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まとめ
胸トレをしているのにベンチプレスが伸びない原因は、単に「胸の力が弱いから」ではありません。神経系、筋肥大、補助筋、可動域、栄養と回復。この5つの要素を順に分析し、弱点を改善していくことが重量アップの最短ルートです。
キャプテンKのひとこと
「胸だけ鍛えてもベンチは伸びない。神経・補助筋・回復まで含めて鍛えろ!」

